
【ガイドライン・論文紹介】Wilderness Medical Society Clinical Practice Guidelines for the Prevention, Diagnosis, and Treatment of Acute Altitude Illness: 2024 Update(第5回)
原文リンクはこちら: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37833187/
2024年にWilderness Medical Societyがまとめた高山病に関するWilderness Medical Societyのガイドライン紹介の最終回となります。
今回はこれから計画している登山においてご自身がどの程度の高山病のリスクがあるかの評価の仕方をお伝えします。
【今回のガイドラインについて】
本ガイドラインは、2010年に『Wilderness & Environmental Medicine』に掲載された「急性高山病の予防と治療に関するWMSコンセンサスガイドライン」、および2014年と2019年に同誌で「急性高山病の予防と治療に関するWMS実践ガイドライン」として発表された改訂版を更新したものとなります。
【急性高山病のリスク評価と登山計画】
この表はこれから計画されている登山での高山病のリスク評価を行うためのリスク評価表となります。
| 評価項目 | 低リスク | 中リスク | 高リスク |
| 急性高所障害の既往歴 | 既往なしまたは軽度の急性高山病 | 中等度~重度の急性高山病 | 高地肺水腫もしくは高地脳浮腫 |
| 登山1日目の宿泊高度 | 2,800 m未満 | 2,800~3,500 m | 3,500 m超 |
| 標高3,000 m以上での 登高速度 | 1日500 m以下で、標高1,000 m上昇するごとに高度順応のための予備日を設ける | 1日500 m以上で、標高1,000 m上昇するごとに高度順応のための予備日を設ける | 1日500 m以上で、標高1,000 m上昇するごとの高度順応日を設けない |
表:Andrew M Luks 1 , Beth A Beidleman, et al., 2024 Mar;35. Wilderness Environ Med.より作成
まずは左側の列の内容に一致した項目を探してください。例えば、
・急性高山病の既往歴
ないかもしくは軽度 →「既往なしまたは軽度の急性高山病」に○
・登山1日目の宿泊高度
「2,800~3,500 m」ならば真ん中の列に○を
というように3つの項目についてそれぞれ○をつけます。このうち最も右側に丸がついたカテゴリーがあなたのリスク評価となります。
このリスク評価からどこを改善すればリスクを低減できるかがわかるようになります。
またこの論文ではこのリスク評価において中リスクもしくは高リスクになる場合には以前お話ししたダイアモックス(アセタゾラミド)の予防服用をお勧めするとされています。
合計5回に渡りWilderness Medical Society Clinical Practice Guidelines for the Prevention, Diagnosis, and Treatment of Acute Altitude Illness: 2025Updateについて紹介してまいりしました。高所登山を計画されている場合はぜひ参考にしていただけたらと思います。
なお、薬剤の服用については必ずかかりつけ医もしくは山岳医療専門家の医師にご相談ください。
引き続きJMMC 日本山岳医療協議会では山岳医療、野外医療の関わるガイドラインや論文を紹介してまいります!
(原則、毎週金曜日更新)