【ガイドライン・論文紹介】Wilderness Medical Society Clinical Practice Guidelines for the Prevention, Diagnosis, and Treatment of Acute Altitude Illness: 2024 Update(第1回)

原文リンクはこちら: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37833187/

今回から複数回にわたって高山病に関するWilderness Medical Societyのガイドラインをご紹介します。
高山病についてはみなさまの関心も大きいと思いますので、これまでと異なり細かく見ていきたいと思います。
今回はその第一弾となります!

ではこのガイドラインを見ていきましょう。

【今回のガイドラインについて】
本ガイドラインは、2010年に『Wilderness & Environmental Medicine』に掲載された「急性高山病の予防と治療に関するWMSコンセンサスガイドライン」、および2014年と2019年に同誌で「急性高山病の予防と治療に関するWMS実践ガイドライン」として発表された改訂版を更新したものとなります。

【そもそも高所とは】
高度順化していない登山者は、標高2,500m以上に登山する際に高所での疾患のリスクにさらされます。しかし、これまでの研究や臨床経験によれば、高所での感受性に高い登山者は、標高2,000mという比較的低い高度でも急性高山病(以下AMS)を発症し、まれなケースでは高所肺水腫(以下HAPE)を発症する可能性があることが示唆されています。高所脳浮腫(以下HACE)は通常ではより高い標高で認められるといわれていますが、HAPEを併発した患者においては標高2,500m前後でも報告されていいます。
AMSが発症する具体的な標高の閾値を定義することが困難な理由の一つは、AMSの最も一般的な症状や徴候が、 AMSに非特異的な症状であることが言われています。実際、標高の上昇がないにもかかわらず、登山者にAMSに見られるのと同じ症状を発症したいくつかの研究でも、このことが実証されており、実際には症状が他の何らかの過程に関連しているにもかかわらず、対象者を高山病と診断してしまう可能性があり、その結果、高所ではなくともその標高におけるAMSの報告発生率が誤って高められてしまうことがあります。
したがって、固定的な高山病の標高の閾値を定義することの難しさを認識し、急性高山病の既往歴、登山計画での1日あたりの登高速度、および高所順化期間の確保といった要因も考慮に入れるべきであると述べています。AMS、HAPE、またはHACEの診断は、患者が2,500m未満にいるという事実のみに基づいて除外すべきではなく、これらの診断は、一致する臨床所見が認められる場合には強く考慮すべきであり、その際には、他の疾患である一酸化炭素中毒や低血糖、低ナトリウム血症、肺炎、重度の脱水、ウイルス性疾患などの他の病気を慎重に鑑別する必要があります。

次回へ続く・・・
今回はまずは高山病および関連疾患(AMS、HAPE、HACE)と標高の関連性、および考え方についての総論的なお話をさせていただきました。

次回はAMS、HAPE、HACEの具体的な予防対策や治療についてお話ししたいと思います。この分野はどうしても医学的な側面が多くなってしまうため、医療従事者以外の方には少々悩む部分も出てくるかもしれません。

引き続きJMMC 日本山岳医療協議会では山岳医療、野外医療の関わるガイドラインや論文を紹介してまいります!
(毎週金曜日更新)

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この記事を書いた人

日本山岳医療協議会JMMC代表

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