【論文紹介】Environmental Exposures and Risks During Pregnancy (第3回)

原文リンクはこちら: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38706212/

JMMCでは論文やガイドラインをランダム紹介しています。今回は野外環境、山岳環境における妊娠中の人体が受ける健康影響について書かれた論文“Environmental Exposures and Risks During Pregnancy”をご紹介します。この論文に関しては今回が最終回となります。

最終回の今回は「急性高山病と妊婦におけるダイアモックス(アセタゾラミド)の使用」に関する検討について見ていきたいと思います。では見ていきましょう

【妊婦における急性高山病】
妊婦における急性高山病に関する疫学的データはこれまで報告されていません。
妊娠に伴う過換気が急性高山病に影響する可能性は理論上ありますが証明されてはいません。
したがって、研究データが不足しており、科学的に妊婦であることによる特徴的なものはいまのところ証明されていないことになります。

【アセタゾラミドについて】
急性高山病の発症予防や治療に使用されるダイアモックス(アセタゾラミド)については、動物実験で催奇形性が認められていることから、妊娠中の使用には威厳より懸念がありました。

しかしながら、人での研究データは限定的であるもの、これまで明らかな胎児への影響や障がいは報告されていません。

実際、頭蓋内圧亢進症に対してダイアモックス(アセタゾラミド)を使用した12人の妊婦の研究では、胎児への明らかな有害作用は認められていません。

一方で、特に妊娠初期の潜在的リスクと人での研究データ不足を考慮し、薬剤によって順応を促進するよりも、ゆっくりと高度を上げることが推奨されています。妊婦では、段階的に高度を上げながら約3日間かけてゆっくり順応することが推奨されます。


【高地肺水腫HAPE・高地脳浮腫HACEを発症した場合】
高地肺水腫HAPE・高地脳浮腫HACEは重症な状況であり、大事なこととして、母体の救命・治療であり最優先となります。

治療の第一選択は、高度を下げる(下山)と酸素投与となります。必要に応じて、
高地肺水腫HAPEであればニフェジピン、高地脳浮腫HACEであればデキサメタゾンを使用することができます。

ステロイドの使用については妊娠に関する潜在的リスクが存在するものの、下山や酸素投与が速やかにできず、かつ命の危険があるような高所障害を生じている場合は、母体を治療する利益が胎児へのリスクを上回ります。


これまで3回にわたって妊娠と高所滞在を含む野外環境の影響について簡単に論文の内容をご紹介させていただきました。妊娠中の登山や高所滞在など、野外での活動と体調変化についてはそれぞれの病状、妊娠状態によって異なりますので必ずかかりつけ医にご相談ください。
引き続きJMMC 日本山岳医療協議会では山岳医療、野外医療の関わるガイドラインや論文を紹介してまいります!
(原則、毎週金曜日更新)

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この記事を書いた人

日本山岳医療協議会JMMC代表

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